自閉症について

アスペルガ-症候群(高機能自閉症)、PDD(広汎性発達障害)、自閉症
→自閉症のスペクトラム(範囲)障害と表記する

自閉症スペクトラム障害の症状としては主に、コミュニケーションや社会性に遅れがあることがみられます(下記参照)。自閉症スペクトラム障害と診断される子供の一部には、なんらかの遺伝的要因がある可能性は指摘されていますが、環境要因も少しずつ解明されてきており、親の育て方や接し方が原因であることは完全に否定されています

自閉症スペクトラム障害の代表的な症状(就学前)

  • 下記に掲載した症状例は一部で、全てではありません。
  • 下記の症状が一つ当てはまるだけではすぐに障害だとは考えにくいですが、数個あてはまるものがあれ
    ば専門機関にご相談することをお薦めします。

言語面

  • 何が欲しいかを言葉で伝えることが難しい
  • 質問への応答が難しい
  • 指示が通りにくい

ノンバーバル(非言語コミュニケーション)

  • 視線が合いにくい、会話のキャッチボールが難しい
  • 呼びかけへの反応が難しい

行動面

  • かんしゃくや自傷などの行動で伝えようとする
  • 常同行動(繰り返し)、横目でものを見る、くるくると回るなどの行動がある
  • 多動(じっとしていることが難しい)などの行動がある
  • こだわりや見通しを立てる、切り替えることが難しい

感覚過敏

  • 特定の音や感覚などに過敏に反応する

参考:PARS(広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度)スペクトラム出版社

「自閉症」という言葉と誤解

日本では自閉症という言葉が「自ら閉じる」という意味そのままに、引きこもりやニートの人々としばしば混同され、まだまだ誤解や偏見が根強いという現実があります。
自閉症は「個性」だから何もせずに見守ってあげよう、そのようなアドバイスをする専門家がいる現状もあります。見守っているうちに子供さんがコミュニケーションの力を習得する貴重な機会はどんどん失われていきます

自閉症スペクトラム障害と社会

現段階では、自閉症スペクトラム障害の治療法は確立されていませんが、治療法が無いからといって、そのままにしておくとコミュニケーションの難しさは年を重ねるごとに顕著に表れます。

0歳〜就学前

  • 言葉の遅れや常同行動などを示していても、医療や教育機関でしばらく様子を見るよう
    告げられたため4歳や5歳まで待ってしまう
  • 幼稚園や保育園で他の子供と一緒に遊ぶことが出来ない
  • 言葉の替わりにかんしゃくなどの行動で要求を伝えるため、周囲が困ってしまう

小学校

  • 幼稚園や保育園の時には周囲が気づかず、小学校にあがってから集団生活に困難が出て来る
  • 就学相談で指摘を受け、個別支援級に入らざるを得ない
  • 学習面では問題なくても、クラスメイトとは上手くつきあえない
  • 運動会などのイベントへの参加が難しい

中学高校、大学

  • 家では問題なく生活できていても集団ではなじんでいない様子
  • 周囲と上手くコミュニケーションを図れずに、クラスで孤立してしまう

成人

  • 周囲とコミュニケーションを上手くとることが出来ないということは、
    将来仕事につくことが難しい
  • 仕事場での人付き合いにつまずいてしまう

上に記載してある以外にもその子供や人の特性によって様々な困難が考えられます。

療育を行うことで

  • コミュニケーションの力を上げることで家庭の中だけでなく、集団での生活がめまぐるしく改善される
  • 幼稚園や保育園で友達と一緒に遊ぶことが出来、集団生活を送る上で問題となるような行動が減る
  • 小学校でも普通級に通うことまたは通い続けることが出来、自分の興味を広げることが出来るような友達をつくることが出来る
  • 周囲の様々な人とコミュニケーションをとることが出来、関係づくりができる
  • 本人の得意なところをのばし、それを活かす仕事をすることが出来る

などの可能性を広げることが出来ます。
(幼児期に療育を始めることが望ましいですが、それ以降でも遅すぎることはありません)

全体を通して言えることは、現時点で診断がついていなかったとしても、子どもの抱える課題に気がついた時点で療育を始めることが何よりも大事だということです。

自閉症スペクトラム障害の可能性がある人は約1.7%と言われています。計算上は年間に3000〜4000人の自閉症(カナー型)の子どもが産まれていることになり、決して少ない障害とは言えません。(日本では明確な基準や調査が無いため、潜伏人数を入れると更に多くなると言われています) 自分の子供には関係のないことだと思わず、少しでも気になる人は医療機関の受診や地域の療育センターなどへ相談に行くことをお奨めします。

自閉症スペクトラム障害についての参考図書
 「あきらめないで自閉症」平岩幹男先生